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名探偵コナン「ベイカーストリートの亡霊」あらすじ、ネタバレ感想、名言。子供の自殺と現代の教育について。

シリーズ6作目のコナン映画「ベイカーストリートの亡霊」

江戸川乱歩賞を受賞した小説家の野沢尚さんが脚本を担当しています。作家がストーリーを担当しているだけあって他の映画とは一味違う、大人向けの映画になっています。ちなみに野沢尚さんは2004年に自殺という形で亡くなっています。そのことを踏まえて映画を見ると、また違った感想が生まれそうです。

野沢尚さんは北野武の初監督作「その男、凶暴につき」の脚本も担当しています。

本来なら私は大好きな映画であればあるほど感想を書けないのですが、ベイカーストリートの亡霊は素晴らしすぎるので支離滅裂でも思いの丈をぶつけたいと考え、筆を執ることにしました。

ということで、このページではコナン映画「ベイカーストリートの亡霊」のあらすじ、感想、名言について紹介します。

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ベイカーストリートの亡霊の作品情報

タイトル名探偵コナン ベイカー街の亡霊
興行収入34億円
上映時間107分
公開年2002年
製作国アメリカ
オススメ度[jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”]

ベイカーストリートの亡霊のあらすじ

JRとJTだと、電車とタバコ

江戸川コナンたちは仮想体感ゲーム機「コクーン」の完成披露パーティーに招かれた。そのパーティーには日本の未来を担うことになる、警察官僚や政治家の二世・三世が勢ぞろいしていた。

そんな中、殺人事件が発生し、コナンは被害者のダイイングメッセージから、事件の手がかりがゲームの中にあると考え、コクーンに乗り込む。ところが、ゲームのスタート直後にシステムが人工頭脳「ノアズ・アーク」によって占拠され、コナンたちを含む子供たち50人は人質に取られてしまう。

「日本という国のリセット」を企てるノアズアークは、プレイヤーである子供たち50人全員がゲームオーバー(脱落)になってしまうと、現実世界に戻ることは不可能となるが、たった1人でもゴールにたどり着けば子供達の勝ちだと忠告する。

そこでコナンたちは、19世紀末に実在した殺人鬼のジャック・ザ・リッパーを追いかける命がけのゲームに挑戦する。

一方、現実の会場ではコナンの父である工藤優作が殺人事件の捜査に乗り出していた。ゲームの世界と現実の世界、2つの世界でコナンと優作が事件解決に挑む。

ベイカーストリートの亡霊の感想

コナンの映画の中で1番ややこしくて好き!

名探偵コナンの映画は全作品10回以上視聴していますが、ベイカーストリートの亡霊に関してはそれ以上鑑賞しています。

コナン映画ランキングでも1位を取るほどの人気作品です。人気の理由は色々あるでしょうけど、私は以下の点に魅力を感じています。

  • 生と死の物語であること
  • 大人が手出しできず子供たちだけで頑張るストーリー
  • 未来を見据えた仮想現実やAIをストーリーに取り込んでいること
  • シャーロックホームズネタが沢山あること
  • 作画と間の取り方
  • 完璧なエンディング

その他にも色々あるのですが、全部書くと手と肩と腰が痛くなるので控えます。

ベイカーストリートの亡霊は生と死の物語だ

まず注目すべきはストーリーです。天才少年の自殺から始める物語はかなり衝撃的です。

子供アニメにおける自殺のシーンは私にとって結構ショッキングで、攻めている感じがとても好きです。例えばクレヨンしんちゃんのオトナ帝国の逆襲とか。本作では子供の自殺シーンを入れることで、ミステリーとしてではなく、人生の「生と死」の物語であると分かります。

というのも本作ではヒロキ君が自殺をして死に、代わりにノアズアークが生を受けます。ノアズアークが起動したときの、鼓動のような「ドクンドクン」とした音は印象深いですよね。

さらに蘭がコナンを守るために自ら飛び降り死ぬシーン。あのシーンが超々大好きで、脳を揺さぶられるほど大好きなんですけど、自己犠牲により死を選ぶのは蘭らしくていいですよね。現実世界では出来ませんが、ゲームだからあの展開が可能なんです。ゲームの中であることを最大限活かした展開です。

そして最後、ノアズアークはヒロキ君のように自ら消える事(死ぬことを)を選びます。自我を持ったAIはまだ生まれちゃいけないんだ…と。AIが世界を支配したがる作品は多いですが、(アイ、ロボットとか、ドラえもんトボット王国とか)本作ではAIが自死を選ぶエンディングになっていて、SF作品でもあまり見ない終わり方です。

しかもコナンはノアズアークを機械やプログラムとしてではなく、一つの人格として扱います。そこで最後の方に死を選んだノアズアークに「お父さんに、会えるといいねぇ」と言うんですね。私はあのシーンも超大好きで、たまに一人で真似をしています。誰も居ない部屋に向かって「お父さんに、会えるといいねぇ」とドヤ顔決めています。

そんな感じで生と死の物語であるベイカーストリートの亡霊。しかし大人が手だし出来ないので、かなりハラハラする展開ばかりになっています。

大人が手出しできず子供たちだけで頑張るストーリー

コクーンというゲームを体験しているのは子供たちで、仮想現実に入った子供たちを大人が助けることはできません。

2世3世であり努力や協力、感謝を知らない傲慢チキな悪ガキたちが、命がけのゲームに参加し協力することを学んでいくのです。大人たちはただ見ていることしかできず、子供の成長を願うより命が助かって欲しいと願います。当然ですが。そのシーンも描かれているので、大人に感情移入してしまうと心労で疲れます

他の作品にはない、子供たちだけで頑張るというストーリーは、なんというか子供たちが希望であることを意味している気がします。未来ある子供たちそのものが希望なんですね。

工藤優作を含めた大人組みも活躍します。しかし大人は大人、子供は子供という2つの世界がきちんと分けられている点が本作をより魅力的にしていると思います。

特に探偵団のみんなが頑張ってます。レアカードとコクーン参加権をトレードするところなんか、逞しいです。業火の向日葵では「鈴木園子という金持ちお姉ちゃん」にお願いして欲しい物を手に入れています。しかし本作では、ここでしか手に入らないカードと、これからいつでも遊べるコクーン(そんな保証はない)を取引しています。

シャーロックホームズネタが沢山あること

さらに本作の魅力としてシャーロックホームズネタがたくさん登場することも挙げておきます。

ロンドンの街並み、シャーロックホームズの下宿、モリアーティ教授の登場などなど。ホームズネタに、はしゃぐコナンは可愛いですよね。

ホームズネタが分からない人のために、ちゃんと解説している点も映画としての優しさを感じます。イチイチ説明しているせいでテンポが少し悪くなっていますが、それほど気にならないでしょう。

作画と間の取り方も良い

ストーリーだけでなく、作画と間の取り方も好きです
色合いは少しダークなので、コナン君の肌暗すぎじゃね??と思わなくもないですが。

蘭が飛び降りる時の首を傾ける画、コナンの眼鏡が光って表情が分からなくなる画が完璧なまでにかっこいいです。

またラスト、優作とコナンが顔を合わせるシーンの間の取り方も素敵です。物語が終わってホっと一息ついた観客をさらに優しい気持ちにしてくれるシーンです。

感想のまとめ




ストーリー、作画、展開、そして言いませんでしたが音楽も最高な映画ベイカーストリートの亡霊。

現実ではできない展開、ストーリーをゲームという世界に落とし込んで実現したこと。ゲームの中ではあるけれど、都合のいいことばかり起こらないことなど、よく作り込まれた作品だと思います。人気ランキング1位も納得です。

余談ではありますが、個性より調和を尊重する日本の教育現場についても言及されている本作。17年前の作品ですが、今の教育現場はどうでしょうか?
ブラック校則という言葉を最近よく耳にしますが、下着の色や髪型まで決められている(管理)されている学校もあるそうです。

ヒロキ君のような子供が、のびのびと教育を受けられる環境はいつになったら実現するんでしょうか。

なんて色々考えてしまいました。

ベイカーストリートの亡霊の名言

ベイカーストリートの亡霊ではたくさんの名言が登場します。他のコナン映画に比べて難しい用語もたくさん登場します。
その中から私が気に入っているセリフをいくつか紹介します。

  • わしゃ元気じゃ!
  • 好きでお父さんの子供に生まれたわけじゃないわ…
  • お父さんに、会えるといいねぇ
  • お前にしては時間がかかったな
  • 安らかに眠れ、ヒロキ君

からのB’zエンディング曲!!完璧ですね!!

ちなみにコクーン開発者の樫村が言った「公衆道徳」とは人々が生きていく上で守らなければならない道徳、マナー、ルールのことです。

キャスト

監督こだま兼嗣
脚本野沢尚
声優高山みなみ
山崎和佳奈
神谷明
緒方賢一
林原めぐみ
茶風林
大谷育江
高木渉
岩居由希子
田中秀幸
折笠愛
緒方恵美
小林清志
速水奨
平田広明
津嘉山正種

大御所声優ばかりですね。ヒロキ君を演じた折笠愛、諸星少年を演じた緒方恵美、ジャックザリッパーの速水奨あたりが好きです。ゲスト声優は居ないので、ちゃんと物語にのめり込めます。
個人的にはシンドラーの津嘉山正種の声が大好きです。「7more minutes」なんていい声過ぎて痺れます。

まとめ

何度見ても面白いコナン映画ベイカーストリートの亡霊。17年前の作品ですが、今でも色あせずにコナンファンの心に残る作品です。

5年後、10年後も語り継がれる映画でしょう。その未来ではどんな教育が行われているのか、AIがどこまで発達しているのか、楽しみです。