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「トイストーリー4」ネタバレあらすじ・感想!賛否両論も納得の最終作

ピクサーの大人気シリーズの完結作『トイストーリー4』

全作が最高に大好きなんですが、果たして4は必要だったのでしょうか?

鑑賞後は面白かった!と思った私ですが、よくよく考えれば粗が目立つ映画だったと思い直しました。製作側のやりたいことは分かるけれど、やり方が間違っている気がするんですよね(めちゃくちゃ偉そうな言い方ですが…)

今回はトイストーリー4を私がどう感じたのか、あらすじと共に紹介していきます。

否定的な意見もあるので苦手な方はご注意ください

『トイストーリー4』の作品情報

タイトルトイストーリー4
原題Toy Story 4
上映時間100分
公開年(日本)2019年
製作国アメリカ
オススメ度★★★★☆

トイストーリー4のキャスト

監督・脚本ジョシュ・クーリー
キャスト唐沢寿明
所ジョージ
戸田恵子
竜星涼
チョコレートプラネット
新木優子
森川智之

トイストーリー1からなるべく同じ声優を起用しています。これは本当に素晴らしいことですね。映画の続編でキャストが変わると萎えてしまうのですが、そんなこともなくトイストーリーの世界に浸ることができました。

またウッディの声優を務めた唐沢寿明が相変わらず、うまい!!もうウッディといえばこの声、この喋り方、この笑い方だよね、というファンの期待を裏切りません。

ちなみに監督は映画『インサイド・ヘッド』で脚本家とストーリーボードスーパーバイザーを務めた方です。『インサイド・ヘッド』は心を揺らがす、素晴らしい映画でしたが…。

トイストーリー4のあらすじ




ウッディ達がアンディの元からボニーの元へと渡って2年後、バズ・ライトイヤーらおもちゃ達は相変わらず楽しい毎日を過ごしていたが、一方でウッディは遊ばれる頻度が少なくなっていた。

ボニーは新しく幼稚園に通う事になるが、内気な彼女は幼稚園に馴染めない。それを見兼ねたウッディの助けもあり、ボニーは先割れスプーンやモールなどを使用して手作りのおもちゃフォーキーを工作する。

フォーキーを作ったことでボニーは明るくなり、彼は1番のお気に入りのおもちゃになった。しかしフォーキーは、自分はおもちゃではなく「ゴミ」だと思い込んでおり、目を離すとすぐにゴミ箱に入りたがってしまう。

ある日、ボニーたちがキャンピングカーでドライブ旅行に行く事となり、ウッディやフォーキーを含むおもちゃ達も同行するが、移動中、遂にボニーの元からフォーキーが逃げ出してしまう。

それにより、彼を連れ戻そうとウッディもフォーキーの跡を追う事となる。

ウッディはフォーキーを見つけボニーの元へと戻る道すがら、偶然通りかかったアンティークショップで長年離れ離れでいたボーの電気スタンドを見つけ店内に入るも、そこに現れたのは内蔵されたボイスボックスが故障しているため決めセリフを喋ることが出来ず、それが原因で1度も子供に愛された事の無い人形ギャビー・ギャビーであった。

ウッディのボイスボックスドを奪おうと襲来する彼女から逃げる2人だったが、ウッディは店の外に連れられてしまい、フォーキーは離れ離れになってしまう。

そんな中、ウッディは偶然ボーと再会し、フォーキーを取り戻すため協力するのだった。

トイストーリー4のラスト

 

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ボ―と協力するウッディだったが、フォーキーを取り戻すことはできなかった。

しかしウッディは諦めず、自分のボイスボックスとフォーキーを交換する取引をもちかける。

長年の夢だったボイスボックスを手に入れたギャビーギャビーだったが、理想の持ち主の女の子から拒絶される。

そんなギャビーギャビーを見たウッディは彼女に手を貸し、ギャビーギャビーは移動遊園地で迷子になった女の子に貰われる。

ウッディはボニーの元に戻ろうとうるが、バズの顔を見てボーと共にとどまることを決意する。

そしてこれまでの仲間たちとは別れ、ウッディは迷子のおもちゃを子供たちに引き渡すことを使命としてボーたちと活動するのだった。

トイストーリー4の感想!ざっくり言うと“荒い”

完璧なエンディングを迎えたトイストーリー3から2年後、ボニーに選ばれ無くなったウッディ。なんて悲しい始まりなんでしょうか。

これまでアンディの1番だったウッディですが、ボニーの1番どころか2番にもなれず、見ていてとても悲しかったです。

アンディの気持ちをしっかり受け取ったんじゃないのかボニー!

と思いつつも、子供ってそんなもんだよねと思うのです。でもここでリアルな子供を描く必要はあったのかな。あろうことかウッディはボニーパパに踏まれて顔がぐちゃっとなる始末。見ている私は心が痛みましたが、隣の子供は「わははは」と笑っていました…。

ここで、トイストーリーを追いかけていつのまにか大人になった私と、現在おもちゃで遊ぶ子供たちとの視点が乖離していることに気が付かされました…。

(でも本作は子供のための作品でありつつも、トイストーリーを追いかけてきた人たちの物語でもあると思うので、大人である私の視点で感想を綴っていきますよ)

 

そんなウッディがボニーの為と、彼女の作ったおもちゃフォーキーを守る姿は献身的過ぎて違和感を覚えました。もう、フォーキーを守ることでしか持ち主に関われないのかな、と思うと胸がつまります。われらのヒーロー、みんなのリーダーであるウッディがどこか惨めに見えてしまったんですよね。

でもウッディとフォーキーのコンビは最高に面白い!

自分はゴミだーと叫びながらゴミ箱につっこむフォーキーの手を握ってあげるウッディが、イケメンお兄ちゃんに見えるんですよね。いつだってウッディは誰かを導く存在なんだと再確認しました。

しかしボーと再会し、ギャビーギャビーと出会うことによってウッディの心は揺らぎます。おもちゃとして遊ばれないどころか、選ばれることもなくなったウッディなので、ボーやギャビーギャビーの「ホコリを被って待つだけの人生」の寂しさが分かるようになったんです。

トイストーリー3で、アンディは遊んでくれなくなりましたが、ウッディを大学に持って行くと選びましたけど。

ラストは合理的。でも心が納得しない

 

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そんなウッディは自分のボイスボックスをギャビーギャビーにあげて、彼女をアンティークショップから外の世界へといざないます。待つんじゃなくて、飛び出そうといった感じで。

そんなこと言ってしまった、思ってしまったウッディですから、最後の別離は非常に合理的です。ギャビーギャビーに外に出ようと言いつつ、自分は押し入れに戻る道を選ぶのは矛盾が生じますからね。

でもね!!それでもね!!!

私はウッディとバズたちはずっとずっと、これまでもこれからも一緒に居て欲しかったですよ!!矛盾が生じても、使命に気づいてしまっても、ボニーのおもちゃであることを全うして欲しかったですよ!!

新しい道に気づき、それを選ぶ力と決断に責任を持つ能力がウッディは備わっているので、仕方ありません。仕方ないけども…。

もっとうまく描くことはできなかったんでしょうか。

ウッディがギャビーギャビーと女の子を結び付けたとき、もっと充足感や使命感をウッディが感じた描写があったり、ボニーと遊ぶバズたちを見てバズたちは俺がいなくても大丈夫だと感じ取っり、バズがウッディのようにうまく他のおもちゃをまとめる次期リーダー的な存在になれていたり、そんな描写があればラストも心から納得できましたよ。

でも実際はそんな描写はなく、ウッディとバズのやりとりは短く、他のおもちゃたちのバイバイもあっさり。

5分くらい過去のシーンを流して涙を誘えよ!!そういうの好きだろうがディズニー・ピクサーさんよ!!

『カールじいさんと空飛ぶ家』の始めの懐古シーンのように、バズとウッディの出会いや、ジェシー、みんなの笑顔をわざとらしく挿入してくれれば、こっちは「ああ、悲しいな」と思えるのに。そんな時間もなく、みんなお別れ。はいバイバイ。

私が勝手に彼らの絆を想像しているだけで、本当は彼らに絆なんてなかったの??ぜんぶ私の妄想??

なんて戸惑ってしまうくらい、ラストはあっさりでしたね。あれはもうちょっと、どうにかして欲しかったです。

トイストーリー4のキャラクターについて!私のバズはどこにいった?

魅力的なキャラの無駄遣い




トイストーリーと言えば魅力的なキャラ。我らが保安官ウッディ、相棒のバズ、強くて可愛らしいジェシー、皮肉屋のハム、庶民の声代表ポテトヘッド夫妻、叫び声が可愛いレックス…。

ここでは書ききれないほどのキャラが登場しますが、トイストーリー4では彼らの魅力をほとんど描いていません。

本作の主役はあくまでウッディなのでしょうけど、大好きなキャラがワーワー言い合うだけのシーンは真顔になりました。みんながぶつかり合いつつも、ウッディがまとめて、最終的にはみんなで協力して困難を乗り越える。

そんなトイストーリー3を思い出さずにはいられないほど、4のキャラが空気!!

これまでのファンにはたまらなく残念だったのではないでしょうか。

短編に登場したコンバットカールが再登場したのは嬉しかったです

バズとジェシーのカップルを描いた短編をくれ!

さてトイストーリーにおいて1番大好きなキャラはバズです。めっちゃかっこ可愛いじゃないですか、バズって。ボケ具合も面白いし。

そんなバズとジェシーのカップルが大大大好きな私なので、4では2人のイチャラブが見れるかもと期待していたのですが、そんなシーン皆無!!

スペイン語モードネタぶっこむくらいでもいいから、やってくれよ!!

またまたトイストーリー3の話をしてしまうのですが、3でのバズとジェシーって尊いですよね。ジェシーを守ろうとするバズのかっこよさといったら…。生きてて良かったと思うレベルですよ。

でも本作のバズは?ただのアホ!!

なんでしょう、あのバズは。あれは本当に1.2.3を経験してきたバズなのでしょうか。

もしかして本当のバズが見つからなかったので違うバズを連れてきたのかな?というくらい、違和感があるんですよ。

空を飛んでいればバズ?みんなの心配をしていればバズ?違うでしょう。行動がともなってこそのバズなのに、本作ではウッディの相棒として機能していないです。

なんというか、物語を先に進ませるためのキャラでしかないんですよね。

バズの後ろに制作側の顔が見えて、とても残念でした。

短編作品の『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』のバズの方がじゅうぶんバズっぽかったですよ…。

短編映画「トイ・ストーリー・オブ・テラー!」ジェシーがトラウマを克服!あらすじ、感想

ステッキで戦う!強いぞボー!

 

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トイストーリー3から姿を消したボーが再登場。ウッディを支える存在だったボーですが、本作では主体となって活躍しています。

ポリコレだ、配慮しすぎだという声も聴きますが、私個人的にはとても良かったです。

大人で自立した女性になっており、笑いを誘う場面もありましたし、魅力的なおもちゃになっていました。

ただそんなボーを描くために、ウッディを下にする展開、発言はいただけませんね。

一方を上げる為に、一方を下げる必要はありません。

ウッディがヘマをしたことを、ボーがねちねち指摘したり、「私に従うの」と何度も言う必要はあるのでしょうか。ウッディは確かに猪突猛進なところがあるキャラですが、それをマヌケのように描けば逆にボーの評価を下げることになると思うんです。

ウッディに「黙って立っているだけでいい、なにもしないで!」というボーを見て、素敵~!とはなりませんよね。

ボーを魅力的で強いおもちゃのまま描くことはできなかったのでしょうか…。

悪役?ギャビーギャビーについて

 

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今作の悪役はギャビーギャビーでしょうか?でもそこまで悪意は感じないんですよね。

彼女はただ誰かのおもちゃになりたかった。でも、ボイスボックスがなかったせいで、誰のものにもなれなかった。

しかし本当にそうなんでしょうか?彼女はボイスボックスが無かったから、選ばれなかった?私が思うに、ギャビーギャビーが選ばれなかったのは、アンティークショップの外に出なかったからだと思うんです。

一歩踏み出すのを手伝ったウッディですが、別にボイスボックスのくだりは必要はないと感じます。

もしギャビーギャビーを壊れた人形としてして描くなら、君はそのままでもいいんだよという答えが欲しかった。

壊れていたって、いいじゃない。壊れていても、愛してくれる人はいるよ、という愛がほしかった。

それが無理でも、ウッディに自己犠牲させる展開にはしてほしくなかったです。例えばギャビーギャビーが、どこかにあるボイスボックスを自分の手でつかみ取るか、ウッディはその手助けをするくらいなら別にここまで違和感を覚えなかったと思います。

でもウッディにボイスボックスを差し出させるというのは、なんか違うと思うんですよ。

あとギャビーギャビーの横にいたベンソンが完全にサスペリア2のあれ。トラウマを思い出すやつ。

ミステリー映画『サスペリア2』についてはサスペンス映画まとめのページで紹介しています。

めっちゃ面白いおすすめサスペンス・ミステリー映画25作!旧作、新作【まとめ】

映像技術が素晴らしい!おばあちゃんのパンツ




ディズニーピクサーは新作を発表するごとに、毎度進化した映像技術を見せてくれます。私は業界人ではないので詳しくはわかりませんが、ファイディングニモの水の表現からモアナの水の表現の進化にはチビりそうなくらい驚きました。

おおげさに聞こえるかもしれませんが、マジです。

トイストーリー3でびっくりするほど綺麗で、リアルなのにアニメ調から抜け出さないバランスのいい映像を見ることができましたが、トイストーリー4の映像も素晴らしい!!

まず髪!!!ストレートに混じる縮れ毛、縮れ毛に交じる後れ毛など、さらっとした髪も、ぼさっとした髪もリアルに描いています。

また光の演出やレンガの凹凸の具合、おぼあちゃんのデカパンを履いているであろうほんのり膨らんだズボン。これはもうアニメの最高峰ではないのかと感じました。

臆せず言いますと、個人的にアニメの最高峰はいくつかあります。新海誠監督の作品にある水の表現、影の表現も最高峰だと思っています。

映像のただそこにある美しさだけでなく、自然な見せ方という意味で最高峰ということです。

ぜひトイストーリー4を見る際は、映像にも注目してみてください!電源タップにのるホコリやボーの陶器っぽい光ぐあいに感動しますよ!

トイストーリーはウッディストーリーだった

 

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こうして感想を綴っていると、トイストーリー4どころかトイストーリー自体がウッディの物語だったのではと思うようになりました。

アンディに遊んでもらって、仲間を作って、家という小さな箱庭で冒険をして。それがウッディの人生第1章(トイストーリー1~4)なのではないかと。

なのでみんなとの別れも、ウッディの第2章が始まるのだから仕方のないことだ、と考えれば受け入れることが出来ます。

これからウッディはボーたちと一緒に、新たなおもちゃと出会い、いろんなおもちゃを助け、広い世界を見ていくのでしょう。

別離は悲しいでしすが、これまでにない新たなる世界がウッディを待っていると考えればウッディにとってはこのラストで良かったんじゃないかとさえ思います。

押し入れでホコリを被るより、みんなと別れて自分の使命を全うするウッディの方が、ウッディらしいですしね。

うわーでも悲しいのは悲しい!!!

辛いけれど、ウッディの決断は理解できる。笑えるシーンがたくさんあって面白いけど、面白くないシーンも沢山あって不愉快。違和感に潜む合理性。

好きと嫌いががバランス悪くつまっているせいで、本作は非常に評価の難しい映画になっています。こんなにどっちつかずな感情を持ってしまう映画は生まれて初めてです。

「最悪」とも「最高」ともいえない映画って駄作に見えるんですが、ここまでうまく作られていると逆に傑作になるんですね。

そういう意味ではトイストーリー4は本当にすごい映画だと思います。

見る者の心を逆方向にぶんぶん振り回しまくりますからね。嫌でも感情豊かになりますね。

誰かの感想を読むのもいいですが、自分の目で見て自分の心に問いかけなければ何の感想も得られない作品です。まさに傑作。

まとめ

とても長くなってしまいましたが、トイストーリー4。映画館で鑑賞して良かったです。

本作を見て1番に感じたことは「トイストーリー3最高!!!」ということです。

3の株が爆上がりしました。また自分が映画に何を求めているのか、何を期待しているのか、それを裏切られた時どう感じるかについても知ることができました。

大好きではないけれど、本当に素晴らしい作品だと思います。