英国女王とインド人使者の交流を描いた(一応史実)ドラマ映画「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
美しいイギリスの風景とインド音楽、イギリスの歴史と誇りを守るため恥をもさらす王室職員
それぞれの糸がほぼ完ぺきに織り込まれ、情緒あるとても良い映画に仕上がっていました
特にラストシーンのタージマハルは美しかった!
このぺージではヴィクトリア女王 最期の秘密のあらすじ、ネタバレ感想、キャストを紹介します
目次
映画情報
タイトル | ヴィクトリア女王 最期の秘密 |
原題 | Victoria and Abdul |
上映時間 | 112分 |
公開年 | 2018年 |
製作国 | イギリス・アメリカ |
オススメ度 | [jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”] |
ヴィクトリア女王 最期の秘密のあらすじ
1887年、ビクトリア女王の在位50周年記念式典。記念硬貨の贈呈役に選ばれたアブドゥルは、英領インドからイギリスへとやってくる
最愛の夫と従僕を亡くした孤独から心を閉ざした女王ビクトリアは、王室のしきたりなどにも臆することなく、まっすぐな笑顔を向けるアブドゥルに心を開き、2人の間には身分や年齢なども超越した深い絆が芽生えていく
そんな女王とアブドゥルをこころよく思わない王室職員の人びとが2人を引き離そうと動き出す
王室職員のトップ、次期国王、女王専属の医者はアブドゥルの身分を調べたり、淋病であることを盾に王室から追い出そうとしたのだ
しかし女王陛下はアブドゥルを手放すことなく、家族さえもインドから呼び寄せる
ラスト、女王陛下は病気になり命僅かというところでアブドゥルを寝室に呼んだ
女王はアブドゥルを最愛の息子と呼び、そして息をひきとる
そしてアブドゥルは王室を追い出されインドへ帰ることに
その後、彼が綴った日記が2010年発見されるのだった…
ヴィクトリア女王 最期の秘密の感想
登場人物の人間らしさ、人間臭さが面白い
ほぼ史実に基づいている本作ですが、かなり脚色されているのではないかなと感じました
それは女王陛下とインド人アブドゥルの関係を、綺麗に描こうとしている意図が見えたからです
とはいえ映画として楽しむ分には非常に面白い映画です
出世しか考えない周りの人々に嫌気がさす女王陛下の孤独と重責
出世したいけれど媚びへつらう事なく等身大で女王に接するアブドゥル
2人の親子であり、友達であり、主従でもある奇妙な関係を言語化するのは難しいですが、本質を突き詰めれば「人と人」これに尽きると思います
はじめ女王陛下は元気がなく、死にかけのバアさんのようでしたが、アブドゥルと出会うことで歯を見せる程笑顔を咲かせます
しかしインド人が王室に幅をきかせるのが許せない王室職員は彼を追い出そうとするのです
そして事件は起きる
アブドゥルが女王に対して嘘をつき、女王は心を痛め彼をインドに返すことにしたのです
王室職員は大喜びですが、女王陛下はショックのあまり涙を流し、また死にかけのバアさんになってしまう
そのシーンはかなり印象的でした
女王陛下の悲しみに寄りそう人が居ないのです(衣装係のおばさんは一応寄り添う)
王室職員の人たちが女王を、本当にただの女王としか思っていないという事に胸が痛くなりました
その後、女王はアブドゥルを許します
彼の嘘が優しさから来た嘘だと思ったからです
(実際は自己保身のための嘘かもしれませんが…)
そして女王はアブドゥルに男爵の地位を授けようとして王室はさらにパニック!
でも王室職員の気持ちも分かるんですよね
彼らは確かにインド人を見下し、差別をするけれども、それはイギリス王室の伝統と格式、そして自分たちを守る為なんですから
それにアブドゥルも聖人ではありません
インドから一緒に来た友人を死なせてしまいます
友人に関しても、彼なりに何かできることがあったのではないでしょうか
アブドゥルも王室職員の人たちも、人間らしい野望と保身を抱き、女王のお世話をしているに過ぎないのです
人間らしさ、醜さ、優しさが登場人物にぎゅっと詰まっていて、人間ドラマ映画として面白い映画に仕上がっています
また笑えるシーンも多く、劇場では笑い声があがることも
フフフと笑える楽しい映画でもありました
音楽、映像が美しい
ヴィクトリア女王 最期の秘密の見どころは音楽と映像の美しさです
インドの音楽にはあまり明るくないのですが、「ああそれっぽ~い素敵~」となるくらいにはテンションが上がりました
また映像も美しかった!
イギリス王室の調度品、部屋、庭、衣装、どれをとってもイギリスらしく、世界観に浸ることができました
王室の華やかさが人々の醜さをさらに際立たせていましたね
本作を視聴する際は、ぜひ美術にも注目を!と言いたいですが、そんなこと言われなくても注目してしまうと思うので黙っておきます…
ヴィクトリア女王 最期の秘密のキャスト
監督 | スティーヴン・フリアーズ |
ヴィクトリア女王 | ジュディ・デンチ |
アブドゥル・カリム | アリ・ファザル |
ヘンリー・ポンソンビー | ティム・ピゴット=スミス |
ウェールズ公エドワード | エディー・イザード |
モハメド | アディール・アクタル |
女王役を演じたジュディ・デンチが見事!
死にかける女王、はつらつとした女王を演じており、瞳に宿る優しさや戸惑い、決意には目を奪われました
アブドゥル役のアリ・ファザルはインド映画「きっと、うまくいく」の長身役の人ですね
とてもかっこ良かったです
本作にはその他、英国らしいイケオジが沢山登場します!
私の推しは王室職員をまとめるポンソンビー
と思ったら彼は本作の撮影あと亡くなられたそうです…
映画のエンドロールでは役を演じたティムピゴット・スミスに贈るとありましたが、彼のことだったんですね
女王の難題に困ったり呆れたりする顔がとても素敵でした…
まとめ
涙を誘うシーンあり、笑いありの映画「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
CGが甘かったり、アブドゥルを綺麗に書こうとしたり、正直100点の映画ではないと感じましたが、2時間を費やす価値のある映画でした
見て良かったです!
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17世紀の雰囲気が素敵な映画です