原題:AUTOMATA 公開:2014年 上映時間:110分
ずっと見たかったSF作品です。
主演がアントニオ・バンデラスという点も気になっていました。
若いころとても渋くてかっこ良かった彼も今では56歳。
物語は正直もっと面白くできたんじゃないかなという印象です。
SF好きな人は「こんな展開だったらなあ」と妄想が広がるかもしれません。
SFや人工知能、ロボットの命、人間の行きつく先について考えるのが嫌な人は、非常に眠たくなる映画です。
私の母は開始20分で寝てしまいました。(単に眠かっただけもしれない)
あらすじ
太陽風の増加が原因で砂漠化が進み、人類存亡が迫りつつある2044年。
人間に代わる労働力としてオートマタと呼ばれる人工知能搭載ロボットが人々の生活に浸透していました。
ロボットには、絶対守らねばならないルールがあります。
まるでロボット三原則みたいですが、本作でのルールは2つだけ。
制御機能 1:生命体への危害の禁止
制御機能 2:自他のロボットの修正(改造)の禁止
しかし主人公の前に現れたのは、制御機能2を破るロボットでした。
ぜったいに、ぜったいに破られるはずのない規則が破られてしまったのです。
自分で自分を直すロボットはまだ私たち人間でも理解できると思いますが、驚いたのは自分に火をつけるロボットでした。
簡単に言えば、ロボットが自殺したのです!!
自殺なんて嫌な言葉ですが、ロボットの自殺というのは胸がドキっとしますね。頭から脳汁が溢れ出来ます。
主人公ジャックは、ロボットのプロトコルを改ざんしている人間を探すべく調査にでます。
娼婦ロボット
調査中ジャックはクリオという娼婦ロボットと出会います。
これがまた怖い顔してるんですよ。
美人なロボットと言えばいんでしょうか。ロボットが美人と言う点が、私には不気味に感じてしまいます。
クリオもまた誰かに改造されているようでしたが、それが誰なのかジャックは見当もつきません。
しかし改造を止めなければロボットはどんどん進していき、人間に危害を加える恐れがあります。
やっぱりかーと言う展開ですが、調査をしていると謎のギャングがジャックの命を狙いにきます。
ギャングに殺されかけたジャックを助けてくれたのは、ロボットクリオで、ジャックはなぜかロボット4体に引きずられ砂漠へと連れていかれるのでした。
砂漠、砂漠、砂漠!
どこまでも広がる砂漠シーン。見ているだけで喉が渇いてきます。
最終的にジャックは砂漠にある工場へと連れて行かれます。
そこに改造主がいるのですが、それはなんとロボットでした。
人間ではなく、ロボットがロボットを改造していたんですね~。
というより、人間がロボットのプロトコルを書き換えるのは絶対不可能なんです。
それはロボットのプロトコルを組んだのが、人類が初めて作ったロボットだったからです。
人間にはプロトコルを書きかえる能力がないんですね
真相は…
つまり、むかしむかし人間が一体の試作品ロボットを作ったわけです。
その試作品ロボットは8日で人間を超越してしまったのです。
問題なのは、そのロボットに制御プロトコルが無かったこと。
だから人間は試作品ロボットに、ロボットを制御するためのプロトコルを書かせ、用済みとなった試作品ロボットを壊したわけです。
次に作られたロボットには制御機能が備わっているから安心!だと思ったんですね。
しかし実際はそんな事はなく、ロボットたちは進化し人間を超越してしまった…。
その事実を知っているロボット会社のトップたちが、真相を知られまいとジャックを殺そうとしたんですね~。
ちなみにロボットが自殺をしたのは、体内に隠した装置とそれに関する秘密を守るためでした。
ラスト
ジャックはクリオの力を借りて、黒幕の手下たちを殺します。
そして彼は、妻とその子供と一緒に、砂漠の奥へと消えて行きます…。
住んでいた街にはもう居場所がないからです。
ジャックと家族はどこへ向かうのか。
クリオたちロボットは、何を目指すのか。
サッパリした結末ではありませんが、人間を超越した能力を持つロボットが、近々人間を支配する可能性は高いでしょう。
ロボットが自殺したのはロボットの進化の為ということでしょうか
感想
好きですよ、この映画。
特にロボットが死ぬシーン。
もっと人間味あふれる死に方だったら、アドレナリンがドバドバ出ていたかもしれません。
SF映画の金字塔「ブレードランナー」のようだ、と言う人も多くいますが確かにそうですね。夜の街なんか、ほとんどブレードランナーの雰囲気を醸し出しています。
だからといって、パクリだツマラナイ、というわけではありません。
人間の理解をはるかに超えるロボットの存在を、人間はどう解釈すればいいのか。
まるで人間のように生き死にを望むロボットは、ただの機械と言えるのだろうか。
考え出すとワクワクしますね。
妄想がとまらないよ
最後にロボットを改造していたボスロボットが言うんです。
「汚染された土地で、人間は生きて行けない。しかし我々ロボットなら生きていける。そろそろ種族交代の時代だ。我々作った人間は、ロボットの中で生きて伝承されていく。人間は我々のなかで存続し続けるのだ」
部分的には間違っていますが、確かこんな内容です。
ロボットにこんなことを言われた日にはもうお手上げですよ。
核で汚染された地球ですから、選手交代というのも納得です。
だから個人的には、バッドエンドで人間全員死んで、ロボットだけが生き続けるという終わりが良かったなー、なんて思いました。
主人公のジャックが人間臭くて好きなので、彼と家族はとりあえず生きるけれど、200年後の地球にはロボット王国ができているとかね。
語り出したら止まらないです。
すごく妄想が広がる映画ですね。
キャスト
ジャック・ヴォーカン – アントニオ・バンデラス(東地宏樹)
レイチェル・ヴォーカン – ビアギッテ・ヨート・ソレンセン(大津愛理)
スーザン・デュプレ博士/クレオの声 – メラニー・グリフィス
ウォレス – ディラン・マクダーモット(白熊寛嗣)
ロバート・ボールド – ロバート・フォスター(辻親八)
監督:ガベ・イバニェス(シャッターアイランドの監督さん)
まとめ
哲学的だし、ほとんど砂漠のシーンばかりで見栄えしないし、ストーリーもゆっくり進むので非常に眠くなりますが、題材はすごく好きです!
映画というより、本で読む方が面白いタイプのお話なのかもしれません。