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映画「手紙は憶えている」結末は?あらすじ、感想、ネタバレあり

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原題:REMEMBER  公開:2015 上映時間:95分

ホロコーストを題材にしたサスペンス映画。制作はドイツとカナダです。

ドイツってナチスばかりだなーと思うのは、私がナチス関連のドイツ映画しか見ないからでしょう。

主人公は認知症のおじいちゃんです。おじいちゃんが友人の手紙を元に、復讐を成し遂げる物語です。

驚愕のラストとありますが、映画通なら予想のつくラストです。

それでも楽しめますけどね。ぷるぷる震えるおじいちゃんとおじいちゃんの対峙は笑ってしまいました(*‘∀‘) でも最後は泣きました。

あらすじ

ゼヴは今年90歳で、介護施設で暮らしている。最近は認知症が進行し、最愛の妻ルースが死んだことさえ忘れてしまうようになっていた。

ある日、ゼヴは同じ介護施設の友人マックスから1通の手紙を託される。

その手紙には2人の家族を殺したナチス兵士に関する情報が記されていた。

その兵士の名はオットー・ヴァリッシュといい、現在は”ルディ・コランダー”という偽名を使って暮らしているという。

コランダーと名乗る人物は4人にまで絞り込まれていた。

体が不自由なマックスに代わりゼヴは復讐を決意、1通の手紙とかすかな記憶だけを頼りに、一人でルディ・コランダーことオットー・ヴァリッシュ探しの旅に出る。

一人目のルディ・コランダー

ゼヴは拳銃を買い、バスを乗り継いて一人目のルディ・コランダーに会う。

ガウンを着た足の悪い一人目のルディは自分がナチス兵士であることを認めた。

「国の為に戦った。政策を信じていた」

ゼヴは杖をつく彼こそがアウシュビッツのブロック責任者だと思うがしかし、一人目のルディは収容所のことを知らなかったという。

しかもアフリカで戦っていたらしい。その証拠を見せられて、ゼヴは彼は違うと知る。

ゼヴはホテルに戻り、介護施設の友人マックスに電話をして、次のルディ・コランダーに会うことにする。

だが眠るたびに今の状況を忘れてしまうゼヴ。

ポケットの手紙を読むたびに、自分の妻が死んだことと、アウシュビッツの責任者を見つけ出し殺すという使命を知る。

二人目のルディ・コランダー

 

二人目のルディ・コランダーは病院に居た。点滴につながれて今にも死にそうだ。

二人目のルディは自分はドイツ人であり、アウシュビッツに居たと言う。

ゼヴは銃を向ける。

「貴様はわたしの家族を殺した、だからお前を殺す」

二人目のルディは震える自身の腕を見せる。そこには収容所の番号が彫られていた。

ゼヴも自身の腕にある収容所の番号を見せた。

二人目のルディは同性愛者を理由に収容所に入れられていたのだ。

ゼヴは泣いて許しを請う。

同時刻、ゼヴの息子は施設から消えたゼヴを探す。だが手掛かりはない。

ゼヴは手紙の通りに居場所がばれないようにカード類は一切使っていなかった。

3人目のルディ・コランダー

ゼブは国境を越え、バスに乗り3人目のルディ・コランダーに会いに行く。

だが家には誰もおらず、息子を名乗る警察官が現れる。

どうやら3人目のルディ・コランダーは死んでしまったようだ。

息子警察官はお酒を飲みながら、父親のルディについて語る。3人目のルディはナチスグッズを集めていて、息子である警察官もナチス好きだった。

ナチスグッズを自慢げに語る警察官の話から、3人目のルディはアウシュビッツの責任者ではないと知る。またもや人違いだった。

様子のおかしいゼヴの腕に書かれた収容所番号を見て、警察官はブチぎれる。

「お前は誰だ!親父の友人だと嘘をついたな!しかも薄汚いユダヤ人じゃないか、くそ野郎。親父が生きていたらこう言ってただろう、ハイルヒトラーってな」

怒鳴りをあげる警察官にゼヴは漏らしてしまう。怒りを増した警察官は犬をけしかけるが、ゼヴは銃で撃ち殺し、同様に警察官も殺してしまう。

後悔と動揺の中、ゼヴは最後のルディ・コランダーに会いに行く。

しかし認知症が進むルディは転んでしまい、病院に運ばれる。ゼヴの息子は父親の安否を知り迎えに行く。

病室で楽しくアニメをみるゼヴだがポケットの手紙を読み、自分が何をしていたのか、何をすべきなのか思い出し、最後のルディ・コランダーに会いに行く。

最後のルディ・コランダー

 

最後のルディ・コランダーはゼヴと同じ年くらいのおじいちゃんで、娘孫と住んでいた。ピアノが得意なゼヴは一曲弾いてみせ、ルディは「ワーグナーか」と言い当てる。

 最後のルディはゼヴをよく覚えていた。

「人の目を気にしながら生きてきた。自分を偽って生きてきた」

ドイツ語を交えながら喋る彼を見て、ゼヴはこいつがルディ・コランダーを名乗るオットー・ヴァリッシュだと確信する。

銃を向け、「真実を語れ!」とゼブは叫ぶ。

だがルディは戸惑い、事態が理解できないようだった。

ラスト

 

ルディの娘、孫、そして居場所を突き止めたゼヴの息子は、銃を突きつけるゼヴの姿に驚く。ゼヴは「家族に自分の正体を明かせ!」とルディを脅す。

ルディは顔を伏せながらも真実を語る。

自分はアウシュビッツのブロック責任者だった。沢山の人間を殺した、と。

娘たちは軽蔑と戸惑いの視線を向ける。

「お前がオットー・ヴァリッシュだな」とゼヴは言うが、しかしルディは首を振る。

「何を言ってるんだ、私はクインベルトだ。オットーはお前だろう!」

そう、ずっと探していたオットー・ヴァリッシュとは自分の事だったのだ。

「私たちはアウシュビッツの責任者だったが、生き延びるために収容所番号を腕に刻んだ。そしてお前は自分をゼヴと名付けたんだ」

ゼヴは真実にうろたえルディを殺してしまう。 

そして自分の頭に銃口を向けると、覚えていると呟いて引き金を引いた。

憶えている。

一連のニュースが介護施設のテレビで流れる。マックスはテレビを見る他の老人に言う。

「ゼヴは自分が何をしたのか理解している。彼が殺した男はクインベルト、そして彼の本名はオットー・ヴァリッシュ。二人は私の家族を殺したんだ・・・」

こうしてマックスの復讐劇は終わりを告げる。

感想

うわー。悲しいです。悲しすぎます。

つっこみどころはあるし、途中クスクス笑っていた私ですが、最後は泣きましたね。

サスペンス、ミステリー映画と聞いていたので結末は予測できていたのですが、それでも最後の悲しみは防ぎようがありませんでした。

 本作「手紙は憶えている」にはホロコースト、認知症、戦争犠牲者が加害者になる等様々な社会問題を含んでいます。

そのどれもがバランスよく合わさっているので、ドキドキしながら、ハラハラしながら、まるで自分や家族の事のように鑑賞できます。

アウシュビッツ収容所の生き残りであるゼブとマックスは協力して、当時の責任者を殺害しようとします。

だけどホテルの手配をしたり、行き場所を指定するのはマックスです。

ゼヴは操り人形のように動くだけ。

しかも寝るたびに記憶をなくしてしまう。

記憶を失い、妻はどこだ?と探すゼヴの姿といったら。悲しくてたまりません。手紙を読んで妻の死を知るゼヴの表情も、つらいものがあります。

アルツハイマーを題材にした映画「アリスのままで」にもありましたが、自分は認知症である、妻は死んだと悲しい事実を何度も何度も知らなければならないというのは、

相当辛い。見ているこっちが辛いですよ。

その辛さを味合わせるのも、マックスの復讐のひとつだったのかもしれません。

記憶を失ったゼヴは、アウシュビッツに居たおじいちゃんと会って、銃口を向けた事を必死に謝ります。

おじいちゃんは震える手でゼヴを抱きしめます。

ゼヴが請うた許しは、果たして銃口を向けた事に対してなのか。それだけなのか。

分かりません。

ナチス信仰者を銃殺したシーンは正直すっきりしました。だってゼヴがユダヤ人と知って、殴る勢いで罵倒するんですもん、あの警察官。犬をけしかけるし、ハートマン軍曹みたいだし。

最終的にゼヴはアウシュビッツ責任者を見つけます。でも自分も責任者の一人だった。

そういえばマックスは言っていました。

「アウシュビッツの責任者の顔を知っているのは、私とゼヴ、君だけだ」と。

囚人として知っているとは言ってないんですよね。

うわー、マックス頭良すぎ。復讐が成功したのは、ゼヴが認知症であったおかげもあるでしょう。

行く先々出会う人が優しかったせいもあるかもしれません。

でも最後、父親がナチ党だったと知る息子たちの顔と言ったら。

ルディの娘、孫は「おじいちゃんは沢山人を殺したのね」と軽蔑(動揺)の目を向けるし、

ゼヴの息子も「まさか、親父が・・・?」と顔をしかめます。

さっきまでの家族は愛はどこにいったのか。

ここも重要なテーマだと思うんですよね。

アウシュビッツに収容されていた人は同情され、優しくされて。

ナチスとして働いた人は軽蔑される。例えそのことを後悔しても・・・。

どこまで後悔したら人は許されるのでしょうか。誰が許すのでしょうか。

家族の復讐を計画したマックスは悪人でしょうか。正しかったのでしょうか。

利用されたゼヴは可哀そうでしょうか。ガスで沢山のユダヤ人を殺し、そのことを忘れ、アウシュビッツに居た人に許しを求めたゼヴは?

最後に死を選んだゼヴ。

死を選ばざるを得ないように仕組んだマックス。

誰が悪くて誰が良い。正しい、間違っているなんて無いと思います。

でも、どうして、とも思います。どうしてこうなったのか。

ヒトラーが悪い、戦争が悪いと言えばそれまでですが、そんな言葉で片付けてはいけないでしょう。

こういった話は退役軍人や、戦争で家族を殺された人にも通じるものがある気がします。私は戦争体験者ではありませんが、祖母が沖縄戦経験者なので、やっぱり思うところがあります。。。

キャスト

監督アトム・エゴヤン
ゼヴ・グットマンクリストファー・プラマー
ルディ・コランダー#1ブルーノ・ガンツ
ルディ・コランダー#2ハインツ・リーフェン
ルディ・コランダー#4ユルゲン・プロホノフ
チャールズ・グットマンヘンリー・ツェニー
ジョン・コランダーディーン・ノリス

白い沈黙の監督です。驚きました。白い沈黙はマジで意味不明で面白くなかったのです。今思い出してもなんだあの映画って感じです。

ポスターがめっちゃかっこいい

本作「手紙は憶えている」の日本版のポスターは地図をバックにしていて、オシャレな感じです。

外国版のポスターはとにかくスタイリッシュでかっこいい!マフィア映画か何かですか? 左の水が流れているポスターは映画内シーンの一つです。センスありすぎ。

まとめ

おじいちゃんがおじいちゃんを利用し、おじいちゃんを殺す物語。 サスペンスとしては普通ですが、どれにテーマを置いて鑑賞するかで印象が変わるでしょう。

復讐劇、戦争責任、認知症に重きを置いて鑑賞したので、私は非常に楽しめました!心に来るものがあります。

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