原題:The 15:17 to Paris 公開:2018年 上映時間:94分
御年87歳のクリントイーストウッド監督の最新作!彼の作品を見るのは久しぶり。ハドソン川の奇跡をジャパンプレミアム以来です。
今作はワーナーブラザースジャパン様(@warnerjp)のご好意により、関係者試写会という形で鑑賞してきました。
このページでは15時17分、パリ行きのあらすじ、最速感想、本人役を演じた人たちの写真、動画を無料で見る方法を紹介します!
あらすじ
2015年8月21日。
オランダのアムステルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラム過激派の男がテロを試みる。
しかし、その列車にたまたま乗り合わせていた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、未曾有の惨事を防ぐことに成功する。
映画は、幼なじみで親友同士のスペンサー、アレク、アンソニーの3人が出会った少年時代や、事件に遭遇することになるヨーロッパ旅行の過程を描きながら、ごく普通の若者たちが、いかにしてテロリストに立ち向かうことができたのかを明らかにする。
引用元映画ドットコムより。
感想の前に……
「アメリカンスナイパー」「荒れ野の用心棒」「ダーティハリー」で知られるクリントイーストウッドの映画とあって、試写会参加が決定した時は「うひゃあ、ラッキー」と思いました。
しかし、待てよと、不安が芽生えます。
2016年に見た「ハドソン川の奇跡」は、ちょっとイマイチだったじゃないかと思い出したのです。
鑑賞直後は、トムハンクスに会えたし、アーロンエッカートに会えたしで「面白かったあ」となりましたが、よくよく考えればそれほど面白くなかったような……と意見が変わったことを思い出したのです。
今回は出演者の登場するような試写会じゃないし、冷静に、客観的に映画だけに集中できるといいけど。
不安は映画を見終わったあとには綺麗さっぱり消えていました。
詳しいあらすじと感想
「ハドソン川の奇跡」は事実を描いています。
今作、「15時17分、パリ行き」も同様、事実を描いています。
主演の3人の男は、実際にテロを防いだ本人でもあります。
役者でもなんでもありません。
中々大胆な試みです。リアルヒーローを本人で再現するなんて、それもクリントイーストウッド監督によって映像が作られるなんて。
どんだけ豪華な再現ドラマなんじゃい!
再現ドラマですから、事実をなぞっているわけで、
突拍子もないことは起きません。ストーリーが単調で分かり切っていて、幅がないといえます。
それでも面白いと感じたのは、やはり魅せる力があるからでしょう。
映像と音が嫌でも観客を夢中にさせるのです。
映画の大半の時間が、男3人の旅行記になっています。
3人の少年時代を振り返ったり、ヨーロッパ旅行をするに至った理由も描かれています。
アレクとスペンサーはシングルマザーの家庭で、敬虔なカトリックの小学校に通うのですが、もうその学校がザカトリックなんですよね。
「シングルマザーですか、父親がいないなんて」と校長は言うし、「お子さん、注意欠陥多動性障害じゃないですか?薬飲んだ方がいいのでは」と担任は言うし。
ほんと酷い。
アレク、スペンサー、アンソニーはそんな中で友情を育んでいくんですよね。
それで、3人の中でも主人公的な立ち位置のアレクは人の役に立ちたいと、アメリカ軍に入隊します。
大人になった3人は休暇を取り、仲良くヨーロッパ旅行を楽しみます。
イタリアのヴェネチアへ行ったり、ローマを歩いたり。アンソニーは自撮りしまくります。どこに行っても自撮り。自撮り棒を持って走ったりもします。そんでSNSに写真を上げるんですと。
ふつーの旅行記ですね。めちゃくちゃ綺麗な景色が続くので、ああ私も旅行したいなーと思ってしまいました。自撮りはしませんが。
それから旅行客との交流もちょっとだけ描かれます。物語には関係ないですが、実際にあったことなのでしょう。
そして映画開始から一時間たったころ、三人は15時17分、パリ行きの列車に乗り込みます。
そして事件が起こります。
一人の武装した男が銃を手にトイレから出てくるのです。偶然居合わせたマイクというおっさんが、男から銃を奪うのですが、二、三発撃たれて通路に倒れてしまいます。
辺りはパニック!
軍人であるアレクは状況を把握し、男につっこみます。
そして乱闘のすえ男を気絶させるのです。
本当にあっという間の出来事でした。
アレクはナイフで首を刺されるわ、親指を切られるわ、悲惨な状態です。しかし彼は友人のスペンサーに男を縛らせて、自分はけがをしたおっさんの元へ走り、止血を始めます。自分だって怪我をしていますが、おっさんは首を撃たれて今にも死にかけています。
彼は懸命におっさんを励まします。
「大丈夫だから、動いちゃだめだ、止血ができない。あんた名前は?どこから来たんだ?気を確かに持つんだぞ」
もう一人の友人、アンソニーは止血できそうなタオルを探し、怖がっている女性をなだめ、3人それぞれが自分のすべきことをするのです。
列車が駅のホームに着くと、連絡を受けたフランス警察が銃を手に列車に乗り込みます。
こうして男のテロは失敗に終わるのでした。
最後、実際のニュース映像らしきものがスクリーンに流れます。
フランス大統領がアメリカ人であるアレク達に褒章を送るニュースです。
その後、三人はホワイトハウス前でパレードに参加し、アメリカ国民からも栄誉を称えられます。
三人はフランスからレジオン・ドヌール勲章を、本国アメリカからも名誉ある勲章を貰います。
単に「授与された」という文字がスクリーンに映るだけなのですが、私うるっときちゃいました。
まさか本作で泣くとは思ってもいませんでした。
テロのシーンは怖いと言うより、本当にあっと言うまで、他の客室に居たひとたちは騒動があったことさえ気づいていないんじゃないでしょうか。
故に三人の活躍シーンは少ないのですが、それでも見終わった後、「良かったね、三人ともほんとに良かったね」と思いました。
ADHDじゃないか、父親が居ないから問題行動を起こすんだと言われてきた三人が、どこにでもいそうな三人がテロに立ち向かい多くの人間を救い、英雄として称えられて、胸にぐっとくるものがありました。
まさかこんな映画だとは予想していなかっただけに、自分の心境にちょっとびっくりしました。
三人は役者でもなんでもないのですが、演技ヘタだなーとはちっとも思いませんでした。まあ本人役だから演技とは言えなかもしれませんが、違和感はなかったですね。
期待値が低かっただけに、とても楽しめました!!
それから。
この映画は決して、誰もがヒーローになれるとは言っていません。ヒーローになるべきだとも言っていません。
テロが突然起こり、そして、ただの一般人が多くの人を救った。
「15時17分、パリ行き」はその事実をただありのまま述べている映画なのです。
公式サイトでも、監督は以下のように述べています。
「この映画はごく普通の人々に捧げた物語である」 クリント・イーストウッド
(まあ水を差すようであれですが、アメリカ軍人ってすげーだろ感もばしばし感じました。
日本人でも楽しめるエンタメ映画というより、アメリカ人が自国の軍人の素晴らしさを感じる教材的な映画ともいえなくもありません)
映像とか音とか
ヨーロッパ旅行してえ。でもパリには行きたくない。
映像はとても綺麗で、めちゃくちゃ画質のいい世界街歩きを見ている気分になりました。
こういう再現系映画、日常を撮る映画って無駄にフレームが揺れたりしますが、そんなこともなく、画面酔いせずに楽しめました。
ああ、でも途中三人がクラブに行くシーンがあるのですが、光がちかちかして、ちょっときつかったですね。そのシーンだけは目を閉じていました。
エンディングに曲はなく、たしかピアノの曲が流れていたような気がします。
キャスト
事件当時、実際に列車に乗っていた多くの一般人が乗客役としてキャスティングされています。また撮影も、実際に事件が起きた場所で敢行されました。
監督:クリントイーストウッド
スペンサー・ストーン – 本人
アンソニー・サドラー – 本人
アレック・スカトロス – 本人
ジョイス・エスケル – ジュディ・グリア
まとめ
すげー金のかかった再現ドラマを見たよ。
最後に試写会にお招きしてくださった方々に、感謝の言葉を述べさせていただきます。ありがとうございました!!