響 -HIBIKI- 79/100
マンガを実写化した映画「響 -HIBIKI-」
邦画を映画館で見るのは久しぶりで、正直期待していませんでしたがとても面白かったです
原作マンガを知らないので比較はできませんが、でも、「響 -HIBIKI-」が面白かったのは物語(原作)が素晴らしいからでしょう
ぶっちゃけキャストの演技はお粗末なものですが、それでもめちゃくちゃ面白かったし、胸に響きました
ということで、このページでは映画「響 -HIBIKI-」のネタバレあらすじ、感想、キャスト、主題歌情報を紹介します!
小説家を目指したことがある、小説が好きな人は絶対見るべき映画です
目次
作品情報
タイトル | 響 -HIBIKI- |
上映時間 | 105分 |
公開年 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
オススメ度 | [jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”] |
響 -HIBIKI-のあらすじ
出版不況が叫ばれる文芸界。
文芸雑誌「木蓮」編集部に一編の新人賞応募作が届く。
応募要項を一切無視した作品のため、破棄されるはずだったその作品に編集者の花井ふみが目を留めたことから、状況は大きくは変わり始める。
「お伽の庭」と題されたその小説は、15歳の女子高生・鮎喰(あくい)響によって書かれたものだった。
響は芥川賞・直木賞をW受賞するが暴行事件をたびたび起こしマスコミは大騒ぎ
それでも響は自分は悪くないとスタンスを変えず、小説を書き続ける
響 -HIBIKI-の感想:キャラクター
とても面白い邦画だった!鑑賞後は感嘆の息が出たよ
まず初めに言っておきたいですが、映画「響 -HIBIKI-」は興行的にそれほど成功はしないでしょう
「コードブルー」や、これから公開される「コーヒーが冷めないうちに」「ビブリア古書堂の事件手帖」に比べると華がない
主演を務めるアイドルの平手友梨奈の人気があっても、2018年邦画1位を取るのは難しいでしょう
それでも言いたい
超良かった!!!!!と。
響というヤバイ女子高生が暴力事件を起こしながら、自分を曲げずに小説を書いて、世間が物議を醸すというストーリーは、そこまで驚きがない
でも響という突き抜けたキャラクターと、物書きが持つ情熱が、映画を素晴らしい作品にレベルアップさせています
響はほんとヤバイ女で、屋上から飛び降りようとしたり、大の男を殴ったり、蹴ったりします。
狂気です。劇中では逆襲されませんが、いつか恨まれて殺されるかレイプされるかもしれません
そんなリアルなことを考えてしまうくらいリアリティのあるヤバさです
いきってるとか、そんなラノベの主人公とは違ってマジもんのヤバイ人間です
それもいつも自分が正しいと思っているので質が悪い
友達がからかわれたら、からかった大人を殴る
売られた喧嘩は買うと言って背後からパイプ椅子で襲う
不躾な記者の家に押し寄せて「子供が居るんだ」と脅迫めいたことを言う
社会性なんてこれっぽっちもありません
でも彼女は天才だから許される
その構造がモヤモヤするし、天才だから仕方ないか、とも思える
響の正論にむかつくいて見ている私も蹴っ飛ばしたくなるし、逆に彼女の正論を言えてしまう姿勢がかっこよくも思ってしまう
最初から最後まで、響という主人公に翻弄されました…
だからすごく面白かった
感情を揺り動かす響のキャラクターが良かったです
響 -HIBIKI-の感想:ストーリー
もちろん物語もすごく好きです
小説家を目指したことがある、死ぬ気で小説を書いたことがある人は、この映画に共感すると思います
血眼になってキーボードをたたいて、出版社の住所を封筒に書いて、コピーした小説を入れて封をする。あの瞬間を思い出しました
また響の書いた小説を読んだ人たちがこぞって「はあ」と息を吐く、あるいは息を飲む瞬間。あれも共感出来る人は多いと思います
ほんとうに面白い作品に出合った時の興奮と、思考がおいつかない感じ
世間で有名な作品ではなく、自分が面白いと感じた作品に対する畏怖や敬意を思い出しました
私は江戸川乱歩の「人間椅子」という短編ホラー小説が好きなんですけど、まあそこまで知っている人はいないと思います
人間椅子を読んでいるときの興奮、読み終わったあとの感動はもう一生忘れません
「こんな物語を、人間が書いたの??」と、人間のスゴさみたいな物を感じました
響の小説は、読んだ人全てを感動させる小説です
誰も彼もが絶賛しています
でもそんな小説、ぜったい存在しません
だからその小説のストーリーは劇中全く明かされていませんし、そもそも誰もが感動する小説のあらすじを思いつくことさえ不可能でしょう
しかし誰も彼もが面白いと感じる小説はなくても、自分が面白いと感じる小説はぜったいこの世にあるんですよね
うまくまとめきれませんが、響が書いた小説は「人それぞれ違う」そんな概念的な小説なんじゃないかなと思いました
だから映画「響 -HIBIK」は作家を目指している人はもちろん、読書家も楽しめる映画に仕上がっています
まあ響は作家になりたくて小説を書いているのではなく、小説を書きたいから書いている人物ですが。
本作には作家になりたくて小説を書いているキャラも沢山登場するので、共感できるシーンは多いと思います
響 -HIBIKI-の感想:キャストの演技
ここまでさんざん褒めてきましたが、キャストの演技がちょっと酷かったです
平手友梨奈も、北川景子も、アヤカ・ウィルソンも「演じている」感がありあり
「ああ、台本を覚えて、役作りをして、演技指導なんかされて、仕事しているんだなあ」「大げさな演技だな。指導者がこうやって手を胸にそえてって言ったのかな」
なんて思いながら映画を見ていました
でも私が映画にはいりこめたのは、物語のおかげです
物語が小説家の上辺をなぞったり、読書とははんたるかを真剣に考えたものじゃなかったら、本作はクソつまらんよくある映画になっていたでしょう
キャストのヘタだけどまあ見れないことはない演技は、完全に物語に救われていると思います
とはいいつつ主役を演じた平手友梨奈は時々、本当に響に見えました
特にラストあたりで飛び蹴りをするシーンがやばい
鳥肌たちましたね 超絶かっこ良かった
マンガでは表現できない、人間の「凄み」を演出という形で最高にクールに表現していました
平手友梨奈がどういうアイドルなのか全く知りませんが、でも、本作の彼女は役に見事にはまっていると思います
めっちゃかっこいい飛び蹴りのシーンを見る為に、もう一度劇場に足を運びたいです
それから社会に毒を吐く小説家、田中を演じる柳楽優弥もかっこよかった!!
あと吉田栄作の声がめっちゃ渋くて良かった
高嶋政伸も高嶋政伸さ全開で良かったなあ
やっぱり実力派俳優の演技はズバ抜けてましたね
彼らのシーンは集中して楽しめました!!
響 -HIBIKI-の主題歌「角を曲がる」
響 -HIBIKI-の主題歌は「角を曲がる」
歌っているのは平手友梨奈です
彼女の想いを吐くような歌詞と映画がマッチして、素敵な主題歌になっていました
「世間が望むような人間になれなくてごめんなさい」「自分を曲げる気はない」
監督は公式サイトでこう述べています
通例に従うなら主題歌は平手友梨奈ソロ曲!といった形で押し出されていくものだと思います。
しかし今回それは控えたほうが良いと話し合いました。映画全体が平手友梨奈のためのプロジェクトなんじゃないか、というような予断を与えたくなかったのです
どうやら主題歌については伏せられていたようですね
本作は平手友梨奈主演!といった形で宣伝されていますが、大事なのはそこじゃない
監督がそう述べてくれたので、本作への信頼感がさらにアップしました
キャスト
監督 | 月川翔 |
鮎喰響 | 平手友梨奈 |
花井ふみ | 北川景子 |
祖父江凛夏 | アヤカ・ウィルソン |
神田正則 | 高嶋政伸 |
田中康平 | 柳楽優弥 |
祖父江秋人 | 吉田栄作 |
山本春平 | 小栗旬 |
まとめ
映像化されたことにとても意味のある映画「響 -HIBIKI-」
かつて小説を書いていた人はまた筆を執りたくなるし、今小説を書いている人は妥協したくなくなる映画です
もちろん平手友梨奈目当てで見ても楽しめるとは思いますが、本当のターゲットはそこじゃない
小説を読むのが、書くのが好きな人に見て欲しい作品です
あと岩波書店、KADOKAWA、あすなろ書房、新潮とか出版社の社名が並ぶと興奮する人にもおすすめです