レベル5による青春×ファンタジー映画「二ノ国」
公開当初から見る地獄、無感情になる映画、脚本が破綻しているなど色々言われている作品です。
私は大分前に本作の予告を見て、これは絶対面白いぞ!と一目ぼれし、前売り券まで買った人間です。公開日が誕生日だしね!しかし低評価の嵐に巻きこまれ、期待値はグンと減りました。
今回は二ノ国のあらすじ、正直な感想を紹介します!
ちなみに8.28時点のYahoo!映画、映画.comのレビュー評価は星2.5です。
映画『二ノ国』の作品情報
タイトル | 二ノ国 |
上映時間 | 106分 |
公開年(日本) | 2019年 |
製作国 | 日本 |
オススメ度 | [jinstar3.0 color=”#ffc32c” size=”16px”] |
本作二ノ国はレベル5の同名ゲームのその後を描いていますが、ゲームを知らなくても特に問題はありません。必要な前情報もありませんし、106分と短い上映時間なのでサクっと鑑賞できます。ただし本作に苦痛を感じた場合は106分ではなく、180分くらいに感じるかもしれませんが。
二ノ国のキャスト
監督 | 百瀬義行 |
---|---|
原案・脚本 | 日野晃博 |
キャスト | 山﨑賢人/ユウ |
新田真剣佑/ハル | |
永野芽郁/コトナ ・ アーシャ | |
宮野真守/ヨキ | |
梶裕貴/ダンパ | |
坂本真綾/サキ | |
津田健次郎/ガバラス | |
山寺宏一/バルトン |
原案・脚本はレベル5の社長日野晃博。今回の戦犯のような扱いをされていますが、同じように原案とシナリオを担当したレイトン教授シリーズはどれも神作品です。わくわくと冒険、驚き、感動を生み出せる人であることは否定出来ないでしょう。
ただ脚本にむいていないんだと思います。レイトン教授の映画は、日野社長原案ですが、脚本は他の方が担当しています。そのおかげか、レイトンの映画は驚くほど面白く、繊細な作品になっています。
本作の脚本が酷いのは正直肯定しか出来ないのですが、日野社長が面白いシナリオを書けるからこそ勿体ないと感じてしまうんですよね。もし他の人が脚本を書き、そして声優をすべてプロにしていたら、2019年ワースト作とは言われなかったでしょう。(希望的観測)
今回のメイン声優は有名俳優が担当しています。山崎賢人、新田真剣佑は可もなく不可もなく、物語に支障をきたさない声でいいのですが、コトナ ・ アーシャを演じている永野芽郁が結構酷い。
天気の子の本田翼くらい酷かった。言葉がひっかかり、セリフがすんなり入ってきませんし、ぽわぽわした声が単調で、盛り上がるべきところで全然盛り上がらない。キャラクターの奥に、プロデューサーと永野芽郁の顔が透けてみえるようでした。
他の声優、特に宮野真守と津田健次郎、梶裕貴は相変わらず最高でしたね。特に津田健次郎の声がエロくてエロくて、ずっと聞いていたいボイスでした。
とはいえプロ声優目当てで鑑賞すると、物足りなさを感じると思います。メイン3人以外はそれほど登場が多くありませんので…。
『二ノ国』のあらすじ
車椅子を使っているユウとバスケ大好きなハルは、幼なじみのコトナを助けようとして、現実世界「一ノ国」と並行する、魔法世界「二ノ国」に迷い込んでしまう。
ニノ国で出会ったコトナによく似たアーシャに心惹かれるユウ。しかしコトナとアーシャの命は繋がっているようで、どちらかが死ぬと一方も死ぬようだった。
と思ったら、一方が死ななければ一方が生きられないようで…。
どちらが真実か分からないが、二ノ国に敵国が攻めてくるそうだ。ユウはアーシャを守るため敵国と戦い、ハルはコトナを救うためアーシャを殺そうとする。
『二ノ国』のラスト
やはり一ノ国と二ノ国の命は繋がっているようだ。一方が死ねば、もう一方も死ぬ。
真実をしったハルは、ユウと共に敵国のボスを倒す。
そしてユウは二ノ国に残り、ハルは一ノ国に帰る。
実はユウは二ノ国の住人で、あるキッカケで一ノ国に来ていたのだった。そして二人はなんと同一人物(命が繋がっている者)だったのだ!
ユウはアーシャと結ばれ、ハルはコトナと結ばれて、最後はハッピーエンドで幕を閉じる。
『二ノ国』のストーリーの感想!ご都合主義な展開と嘘のキャッチコピー
巷で言われているような、「2時間の地獄」「無感情になる作品」とは思いませんでしたが、2019年ワースト作品になるだけのポテンシャルが秘められていることは確かです。
場面が急に変わったり、テンポが悪かったり、後出しの設定が多く、置いてけぼりにされた気分になりました。
「実は僕はあのとき○○だと思ってんだ」と後から言われてもは??って感じですし、そういったそぶりも見せなかったのに、急に言われて納得できるはずがない。
また「魔法には匂いがあって~」「伝説の剣があったはず!」とか急に言われるのも、不自然すぎる。例えば映画の冒頭で一ノ国と二ノ国の伝説、情勢、魔法と剣のお話があれば別でしょうけど。
設定を物語に落とし込むならいざしらず、キャラクターにただ設定を喋らせるって‥‥。
映画後半はほぼその調子でストーリーが進むので、ぶっちゃけ感情が無になるのも納得です。
最初はめっちゃやる気のあるストーリーだったのに。なぜこうなったんでしょう。新しく買ったノートの1Pめはしっかり丁寧に書くけど、2Pからはテキトーになってしまう。そんな脚本でした。
そもそもストーリーの根幹となり、キャッチコピーにもなっている「命を選べ」という言葉が嘘。映画では一ノ国と二ノ国が繋がっており、一方に居る人が死ねば、もう一方の国の人も死ぬことが序盤で明かされています。
だから二ノ国で医師団が死ぬと、一ノ国で顔が似ている会社員が死んだんですよね。
それなのに、もう一方が助かれば、もう一方が死ぬと勘違いするのは無理がある。たとえがハルが馬鹿でも。
命のバランスを保つために、死ぬ運命にある者を救ってはならない。そんなストーリーと、そこから生まれる命の選択の葛藤を期待していたのに、そもそもそういう話ではなかったんですね。
登場人物のうち、ハルとアーシャは命のバランスを信じているようでしたけど。
もっとミスリードを多くして、命のバランスについて描いてくれないと、観客は誰にも感情移入できないし、同情もしないと思うんですよ。
私としては、コトナを選んだハルとユウが罪と罰を背負って生きることを選ぶ。失った命と世界の為にも・・・ってストーリーを想像してたんですけどね。お門違いでしたね。
でもだったらキャッチコピーを「命を選べ」じゃなくて「命を救え」にすべきでしょう。つまらないキャッチコピーですけど。
そして最後、実はユウは二ノ国の住人で、二ノ国に残ることを選ぶというのも、おおよそ納得できるものではありません。
そういったふせんがありましたか?二ノ国に残ることを選んだユウの葛藤は?
あれでは一ノ国ではコトナと結ばれないから、アーシャといい感じの二ノ国を選んだ、と思われても仕方ありません。
まあ本作はあくまでレベル5作品。鬱展開がないのは分かっていましたが、それでもご都合主義すぎる。評価が低いのは仕方ないでしょう。
テーマも世界観も設定も面白いのに…。
設定を物語に反映させ、表現する力がない
二ノ国での設定のひとつである、ユウの車いすですが、これ車いすにする意味があるのでしょうか?
ユウは自分の足が悪いことに対して憤ったり、悔しそうにしているシーンはありますし、ハルが車いすではないユウに対し劣等感を抱いているシーンもあります。
しかしただそれだけなんですよね。
二ノ国ではユウはめっちゃ強い英雄でギャップを感じさせますが、それは車いすの設定が無くても描けたことです。病弱にするとか。それでもあえて、車いすであることを設定に選んだのなら、そうでなくてはならない理由が必要でしょう。
ウィンウィン360度快適に動く小型バッテリーの電動車いすに、ユウをのせる理由が私には最後まで分かりませんでした。
例えばトイストーリー4のように、聴覚障がいを持つ子供が自然に、異質ではなく当然として描かれているなら、ここまで違和感は覚えません。
うまく言えませんし、誤解を招く恐れがありますが、障害を特別なものとして誇示しない、その覚悟と力量がトイストーリー4にはありました。
ですが、二ノ国では「ユウが車いすであること」に向き合っていないんですよね。葛藤も絶望も希望もなにもない。
だから車いす使用者や、障害をもつ子供は見ない方がいい…とまで言われるんだと思います。
もしかしたら、「二ノ国に行けば足が治る、病気が治る。だからユウは二ノ国に残った」と言われない為に、実はユウは二ノ国の住人だったという設定を作ったのかも。
そう勘ぐってしまいました。
映像と音楽は素晴らしい!
とはいえ二ノ国にも素晴らしい点はあります。
プロ声優と、映像、そして音楽です。
私は本作の予告を見て、須田景凪の主題歌に惚れました。めっちゃエモい歌詞、盛り上がるサビに、心をくすぐられたんですね。itunesでアルバムを買っちゃいましたよ。
そして言わずもがな、久石譲の音楽も映画を盛り上げており、聞いていて楽しかったです。
映像も可愛いし、アクションシーンもかっこよくて手に汗握りました。ただし途中で挟まれるCGは違和感しかありません。
1980年代なら挑戦的だと評価するCGですが、今は2019年ですよ。アニメ絵との違和感しかないCGは正直邪魔でした。
まとめ
めちゃくちゃ酷評していますが、、人生ワースト映画ってほどではありませんでした。
25時間でプレイできるRPG(PS4・switchゲーム)で、脚本をいじり、メインにプロ声優を起用していれば手放しで面白いと言っていたかもしれません。(希望的観測)
あと何度も言いますが、レベル5によるレイトン教授の映画はとても面白いです。語らない演出が素晴らしい作品です。